皆さん、こんにちは!
税理士法人タクト監査担当・蘇力徳と申します。当事務所ホームページの運営や維持管理等も担当させていただいております。当事務所は皆様に有意義な情報を提供するため、コラムをはじめ、日々新しい情報を発信しておりますが、もし何かご意見がございましたら、ぜひ「お問い合わせ」ページ等でコメントしていただけたら幸いです。
さて、今は新型コロナウイルスの毎日の新規感染患者数が8月よりだいぶ落ち着き、政府も「9月末で緊急事態宣言を全面解除」と発表しました。静岡県の川勝平太知事も静岡県に出されていた緊急事態宣言が解除された後、飲食店には酒の提供を含め営業時間に関する一律の制限は設けないとする方針を示しました。またお店でお酒が飲めるようになったので、お酒が好きな方は嬉しいのではないでしょうか?自分は一滴も飲めないですが(笑)。当事務所のお客様を含め、多くの飲食店はようやく正常営業できるようになりましたが、厳しい経営環境が続いており、まだまだ油断できない状況です。
【経営者が「資金繰り表」を作成することの大切さ】
昨年3月11日にWHOが「パンデミック」を発表し、感染者が急激に拡大して世界が一変しました。多数の会社の資金繰りが厳しくなり、借入をせざるを得なかったと思います。感染拡大から約1年半経ちましたが、一部の会社はすでに返済が始まっているのではないでしょうか。
もし社長が「これから借入を返済できるかどうか?」「ウチはこのままでは大丈夫でしょうか?」などの疑念を持っていれば、まずは自社の「資金繰り表」を作成することをお勧めします。売上を上げるのが当然経営者の仕事ですが、実はもう1つもっと大事な仕事があります。それは会社の資金繰りを管理することです。会社の資金繰りをうまく管理できないと、黒字でも倒産する可能性すらあります。
「損益計算書」は過去の事実であり、それに対して「資金繰り表」は将来を先読みするのです。今後会社がどう変化するかを社長自ら計算し、状況を理解する必要がありますので、すべての経営者に会社の将来のために「資金繰り表」を作成することをお勧めします。
【簡単な「資金繰り表」の作成方法について】
では、どうやって「資金繰り表」を作成するのでしょうか?
「損益計算書」と違って「資金繰り表」は現金ベースなので、売買掛金の回収・支払条件に基づいて作成するのです。会社の業種や設計勘定科目などにより「資金繰り表」の項目が若干違いますが、下記の飲食店( ㈱ABC食堂 )の例(図1)を使って、簡単に説明します。
㈱ABC食堂「資金繰り表」の作成条件について
- 粗利率50%
- 毎月売上の2割は現金売上
- 残り売上の8割は翌月売掛金として回収
- 毎月変動費の2割は現金仕入
- 残り変動費の8割は翌月買掛金として支払
ご覧の通り、1-3月の実績に基づき、4-6月の資金繰りを予測しました。まず「①経常収支」を見てください。通常の営業活動から得られる経常収支はプラスにすべきですが、1月以降マイナスに転落しました。一方、「②財務収支」で毎月長期借入金10万円の返済がありますので、「③翌月現預金繰越高」では1月末の現預金残高は174万円があったのに、最終的に6月の現預金残高は-37万円と予測されました。つまり、資金ショートが発生するのです。
いかがでしょうか?「資金繰り表」を作成することによって、会社の将来が見えて、そして必ず今まで見落としていたことや問題点に気づくことができます。上記「資金繰り表」の雛形はこちらでダウンロードできます。貴社の状況によって項目を追加して貴社の数字を入れてみてください。オリジナルの「資金繰り表」が作成できます。
【最後に】
もし資金繰りに問題がありましたら、改善策としては「回転期間の短縮」、「役員報酬など人件費の減額」、「固定資産の売却」、「金融機関からの融資」、「返済猶予(リスケジュール)」など、いろいろありますが、また今後順次発信して行きたいと思います。
経営者としてもっとも大事な仕事は、なんと言っても会社の資金繰りを管理することです。まずは「資金繰り表」を作らないと何も始まりません。もし「資金繰り表」の作成について何かご不明点等がありましたら、税理士法人タクトは貴社の「資金繰り表作成」を全力でサポートいたしますので、ぜひお問い合わせください。ご連絡をお待ちしております。
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