歯科医院の運営を支えるには、歯科衛生士や歯科助手などの院内スタッフの存在は欠かせません。
たとえ、歯科医師が実現したい目標や新しい方針を持っていたとしても、院内スタッフにその重要性を認識してもらえなければ、変化につなげることはできません。
そのためには、定期的な院内ミーティングで目標や新しい方針、その目的について、しっかり話していくことが重要です。
しかし、なんとなく形だけの院内ミーティングを行っている歯科医院も多いのではないでしょうか。
今回は、スタッフのモチベーションが上がり、スキルの向上にもつながる効果的な院内ミーティングについて考えていきます。
ミーティングは目的を設定することが重要
歯科医院では、歯科医師が中心となり、歯科衛生士や歯科助手ら院内スタッフが仕事をしています。
たとえば、院長の考えで新たな治療メニューに対応したいという時には、患者に対しての周知はもちろん、それ以上にスタッフへのコミュニケーションが欠かせません。
院長の考えや目的など、意図することを院内スタッフに伝えて、意思疎通をはかるためにも、ミーティングの場を設けることは大切なことです。
スタッフの多い歯科医院では、定期的なミーティングを開催しているところも少なくありません。
ミーティングはスタッフの育成や指導の場であると同時に、院長の価値観やビジョンを共有したり、歯科医院内の課題を洗い出すことができる場でもあります。
また、スタッフがミーティングで話し合ったり自分の意見を発表することで、職場のコミュニケーションが円滑になったり、歯科医院が活性化したりといった副次的な効果も期待できます。
しかし、毎日のようにミーティングを行っている歯科医院であっても、ミーティングが単なる連絡事項の伝達や現状報告の場になっているケースも多いようです。
一口にミーティングといっても、その目的ごとに内容は大きく異なります。
『業務改善』を目的とするのか、スタッフの『育成・指導』が目的なのか、それとも『ビジョンの共有』なのか。目的を明確にしたうえでミーティングを行うことで、ミーティングの時間がより充実したものになります。
たとえば、毎朝10分は『連絡と報告』のミーティングを行う時間にして、毎週金曜日の30分は『業務改善』のためのミーティングを行うなど、内容ごとにミーティングを分けるなどの工夫をするとよいでしょう。
歯科医院のレベルに応じて実施する
ミーティングというと、スタッフからたくさん意見が出て、活発なやり取りが繰り広げられるイメージがあります。
しかし、組織の成熟度によっては、望むようなミーティングが成立しない可能性もあります。
たとえば、開業したばかり歯科医院では、クリニックの文化や風土が育っていないため、話し合うべきテーマを与えられたとしても、スタッフたちは何をどの程度話してよいのか分かりません。
これからミーティングを意識的に開催する際には、まずは院長の理念やビジョンなどを共有することからはじめ、そのクリニック独自の文化や風土が根付いた段階で、はじめてスタッフにも意見を求めましょう。
一方、ある程度組織が成熟してくると、ミーティングも院長からのトップダウンだけではなく、全員が意見を交わす参加型になってくることもあります。
業務改善のミーティングでは、普段業務をするうえで気が付いた課題や問題点などを歯科医院のメンバー全員で共有するとよいでしょう。
医療機器に不備はないのか、診療体制は整っているのか、患者対応に問題はないのか、PRはどのように行っていくのかなど、話題にできることはたくさんあります。
院長は、ミーティングで出た課題をすくい上げて改善の方法を考えていきましょう。
スタッフの声をすくいあげ、自主性を重んじることで、モチベーションも上がっていきます。
ミーティングが活発化したら、院長が行うことは、方向性がずれていないかの確認になります。
このような効果的なミーティングにしていくためには、『時間を厳守する』『感情的にならない』『途中で反対意見を言わないようにする』など、ミーティングが円滑に行えるようなルールをあらためて決めておくことも重要です。
また、資料の配布や司会の選定などの事前準備は、ミーティングの進行をスムーズにします。
まずは院長が主体となって効果的なミーティングを行い、徐々にスタッフ主体にスライドしていくことで、院内の組織力を高めていきましょう。
※本記事の記載内容は、2022年7月現在の法令・情報等に基づいています。