『キャッチコピー』とは、いわゆる宣伝文句のことです。
テレビCMやポスターのみならず、雑誌や新聞、YouTubeに店頭の手書きPOPなど、私たちは日常的にさまざまなキャッチコピーを目にします。
キャッチコピーは、自社の商品やサービスに関心を持ってもらうためのものであり、飛び抜けたセンスや奇抜なアイデアがなくても、マーケティングの視点があればつくることができます。
そこで今回は、実用的なキャッチコピーのつくり方を紹介します。
キャッチコピーには具体性が重要
キャッチコピーは顧客に訴求するための宣伝文句を指します。
『catch(つかむ)』と短い文章を示す『copy』を組み合わせた和製英語で、英語では『slogan(スローガン)』や『catchphrase(キャッチフレーズ)』といいます。
キャッチコピーは、少ない文字数で端的に訴求することが一般的です。
「そうだ 京都、行こう。」(JR東海)や「カラダに、ピース」(カルピス)、「なにも足さない、なにも引かない。」(サントリー山崎)や「明日があるさ」(ジョージア)など、誰もが一度は目や耳にしたことのあるキャッチコピーは、コピーライターにより生み出されたものです。
しかし、これらの洗練されたキャッチコピーの多くは、ブランド価値の向上や企業イメージの浸透を図ることを目的としており、商品やサービスを直接PRすることが一番の目的ではありません。
また、大手企業は広告展開に膨大な予算と時間をかけており、キャッチコピーも一大プロジェクトの一つとして、何百、何千もの案のなかから選ばれている場合もあります。
一方、商品やサービスがまだ浸透しておらず、それほどコストや時間もかけられないケースでは、大手企業とは別のアプローチでキャッチコピーを考える必要があります。
また、売上アップや集客を目的にする場合には、キャッチコピーも抽象的ではなく、具体的なものにする必要があります。
商品名などの固有名詞だけでなく、関連する数字や商品を使用するメリットなどを盛り込んで具体性のあるものにしていきましょう。
たとえば、脱臭剤のキャッチコピーであれば『備長炭で強力脱臭!』よりも『上土佐備長炭の効果で当社比30%の強力脱臭を実現!』といったようにすると、より具体性が増して消費者への訴求力も向上します。
さらに『もう臭わない!』や『ニオイを吸着!』といった効果を強調する表現や、『玄関にぴったり』や『ペットの臭いも消える』など使用する場面を連想させるような表現を追加するのも効果的です。
ただし、こうした表現を盛り込みすぎて長くなりすぎないよう注意が必要です。
キャッチコピーは商品のイメージを端的に伝えるものなので、短い表現にすることが大切です。
目安として、全体的に20文字前後、長くても40文字程度にとどめるようにしましょう。
心理学を用いたテクニックを活用しよう!
具体的な言葉を使うことはキャッチコピーをつくるうえで大切なポイントです。
ただし、具体性を出そうとして専門用語を多用すると、商品の中身が伝わりづらくなってしまいます。
キャッチコピーはあくまでわかりやすいことが基本です。
たとえば、食料品などのキャッチコピーに使われる『○○○○を100g配合』などの成分を示す一文を使用するのであれば、『肌に潤いを与える』や『お腹の調子を整える』など、商品によって得られる効果をあわせて記載するようにします。
また、心理学を用いたアプローチも効果的です。
『売れています!』や『大人気の商品です』など、大勢に支持を集めているという意味合いの言葉を盛り込むと、キャッチコピーを見た人はその商品を好意的にとらえる傾向があります。
心理学ではこのような心の動きを『バンドワゴン効果』といい、数多くの商品やサービスで、キャッチコピーに使用されています。
最近では『はじめての方にはおすすめしません』や『本気で〇〇したくない人は買わないでください』など、あえて禁止表現を盛り込むことで、逆に興味を持たせる『カリギュラ効果』を活用したキャッチコピーも増えてきています。
さらに、ターゲットを絞ることで、狙った顧客に訴求する手法もあります。
たとえば『40代から始める』や『35歳のあなたにおすすめです』のように年齢や世代を限定したり、『3人家族にぴったり』や『新婚向け』といった表現を使う、家族構成で絞るなど、さまざまな切り口があります。
これは、自分に向けて発信されているものに関心が向くという心の動きを利用したもので『カクテルパーティ効果』と呼ばれます。
このように、キャッチコピーには『つくり方』があります。
巷にあふれるキャッチコピーには、ほかにもさまざまな心理学的なテクニックが使われています。
センスに自信がない場合でも、ある程度のノウハウやテクニックを活用すればキャッチコピーをつくることは可能です。
キャッチコピーにつくり方はあっても、正解はありません。
節度を保ちつつ、自社にとってよいキャッチコピーを考えていきましょう。
※本記事の記載内容は、2022年11月現在の法令・情報等に基づいています。