Javascriptが無効になっているため、正常に表示できない場合があります。

減価償却について考える(税理士法人タクト 監査担当者・栗田良祐)

News新着情報

税務・会計

2024/07/29

減価償却について考える(税理士法人タクト 監査担当者・栗田良祐)

 

 皆さま、こんにちは。税理士法人タクト職員 栗田良祐です。

 20247月、梅雨明けしていないにも関わらず猛暑が続き、77日の七夕dayには静岡県静岡市の最高気温が40.0°と、気候が温暖で過ごしやすいと言われる静岡県でもnewsになってしまうほど暑い日ばかりで困っちゃいますね。昨日、この暑さで私の家に住み着いている虫さんたちもコンクリの上で干上がっていました。打ち水していなくてごめんなさいね。

 

 さて、今回の記事は先月、私が参加した研修会にてテーマになった減価償却について、私なりの考えを書かせていただきます。減価償却とは、事業における固定資産の取得価額を耐用年数に応じて費用化することです。わかりやすく言うと、経過年数に応じて物の価値が下がるものを数値化したものです。例えば新車を100万円で購入したにもかかわらず、5年後に売却すると100万円で売却できないのは、この減価償却にて、モノの価値が下がっているからです。もちろん売却価格は市場の需要と供給に応じて価格が決まるので、100万円以上で売れることもあります。

 

 実はこの減価償却ですが、会計と税務では考え方が異なります。またびっくりすることに個人事業(所得税法)と法人(法人税法)でも税務上の処理が異なります。まず個人事業における会計のルールは明確には存在しません。しかし個人事業における税務的考え方(所得税法)は強制償却の一択しかありません。個人事業主は、法定対応年数の基、選定した償却方法にて、強制的に費用化するしかありません。青色申告については当事務所でも過去に記事にしているので、こちら(https://www.takt-tax.com/news/?mode=detail&article=616)を参照してください。

 

 一方、法人の場合は、会計のルールとして大企業は、日本会計基準やIFRS等、中小企業では、中小企業の会計に関する基本要領や中小企業の会計に関する指針があり、減価償却について「減価償却に関する当面の監査上の取り扱い」の正規の減価償却や相当の減価償却が存在します。しかし法人における税務的考え方(法人税法)は任意償却で、減価償却を行う・行わないは会社が任意に選択できます。もちろん法人税法における減価償却には損金算入限度額が存在するため、初年度に全額を償却経理しても損金算入は原則できません。(※措置法で全額損金算入も要件が適用さればできるので、原則と記載。)ちなみに償却経理した金額が、損金算入限度額以下の場合には償却経理した金額まで損金となります。

 

※上記をまとめると以下のようになります。

 

会計基準

税法基準

個人事業主

明確なルールはない

強制償却

法人

大企業     日本会計基準、IFRS

中小企業 中小会計要領、中小会計指針

任意償却

(限度額規定あり)

 

 なかなか複雑ですね。なんだかわからないよ!という方については、問題が生じないやり方である、税務上の法定耐用年数にて減価償却の会計処理を行いましょう。諸会計基準上で定められた規則的な会計処理を行い、もし業績が赤字になってしまうのであれば、私の会社は業績が良い時は良い、悪い時は悪い。と、決算書で表しているので、堂々と債権者や利害関係者に見せつけましょう。そのうえで翌期の改善策を考えればいいのです。

 

 一方、例えば中小企業の場合に会計基準の中小会計要領に則するよう、実態に合わせた耐用年数(相当の減価償却)を用いる場合もあります。(毎日使用する機械、法定耐用年数は20年だが、一般的に毎日使用すると実態としては15年で壊れてしまう場合、15年で減価償却を行う。)これはこれで間違っていないです(※税法が絶対でなく、線引きとして使われているため)。この場合では、税務の計算上は損金不算入になりますが、財務諸表では実態を表した、正しい決算書といえるでしょう。税理士事務所の職員として、私は社長から相当の減価償却で減価償却したいと言われた際には、法人税法の調整を使ってでも、実態に即した決算書を作成したいです。

 

 会計と税務は違うもの。奥深さを追求すると、こんなにも面白いものです。研修会では、この減価償却をテーマにしたディスカッションをしました。答えがないものを話し合う。他人の考えが聞けるディスカッションテーマは最高です!税理士法人タクトでは監査の質をあげるため、皆が自己研鑽に取り組んでいます。会社を発展させたいと思っている社長、ぜひ1時間の無料相談でお話しませんか?

 

 少し長い文章となりましたが読んでいただき、ありがとうございました。