どんなに気をつけていても、大切な物や私物をどこかに落としたり、置き忘れたりしてしまうことは起こり得ます。
もし、遺失物が誰かに拾われ、届けられていた場合、落とした施設や警察に保管されている可能性があります。
遺失物法では、警察での遺失物の保管期間は3カ月と決められています。
つまり、届けられた遺失物を落とし主が受け取れる期間は、3カ月間ということになります。
今回は、遺失物に関するデータや、制度について紹介します。
3カ月を超えると遺失物は拾い主の物に?
財布や家の鍵、携帯電話や手帳など、失くしたら困る物を落としたり、忘れたりした経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
警視庁の発表によると、2021年には281万7,203件の落とし物が警視庁に届けられました。
そのうち物品の拾得物として最も多かったのは、運転免許証や会員証、キャッシュカード類などの証明書類63万6,796点で、全体の21.1%を占めます。
2位が有価証券類、3位に財布類、4位にかさ類でした。
大切な物を落としてしまったら、焦ってパニック状態になる人も多いかもしれません。
しかし、日本では6割~8割の遺失物が戻ってくるといわれており、きちんと手順を踏んでいけば、見つかる可能性も高くなります。
まず、落としたことが確実であれば、どこで落としたのかを確認し、施設、警察の順に問い合わせるとよいでしょう。
警察では、遺失物法によって、落とし物の保管期間が3カ月と決められています。
最初の1カ月は管轄の警察署に保管され、その後は、警視庁遺失物センターで保管されることになります。
落とし物を拾った拾い主が警察に届けて、落とし主が見つからずに3カ月を超えると、一部の落とし物に関しては、その拾い主のものになります。
ただし、携帯電話や運転免許証などの個人情報に関わる物品については、個人情報保護の観点から、3カ月を過ぎても拾い主の物にはなりません。
できるだけ早く遺失届を提出しよう
保管期間の3カ月を経過すると、落とし物を探すことができなくなるため、落とし主は、できるだけ早く警察署や交番に問い合わせを行い、『遺失届』を提出する必要があります。
遺失届には、落とした品目や色、特徴などのほかに、日時や場所、記名の有無や識別のための番号なども記入します。
警察は、この遺失届に記載された情報をもって、届けられた落とし物との照合を行います。
物品の傷や曲がった癖など、自分自身にしかわからないことも含めて、できるだけ細かく書くとよいでしょう。
留意したいのは、この遺失届で警察が落とし物を探すための調査や捜査を行ってくれるというわけではないことです。
あくまで、警察に届けられた落とし物のなかから、該当するものの有無を確認するだけなので、引き続き自分でも心当たりの場所を探すようにしましょう。
また、警察は都道府県ごとに遺失物の公表ページを設けており、インターネット上で落とし物を探し出すこともできます。
たとえば、東京都内で物を落とした場合には、警視庁の『拾得物公表システム』を利用します。
システムに入ると検索ページがあり、『現金』や『かばん類』『財布類』など、いくつかのカテゴリに分類されており、落とした期間と、『路上』や『鉄道』『タクシー』などの落としたであろう場所を入力すると、該当する落とし物の一覧が特徴や保管場所と共に表示されます。
もし、それらしき落とし物が一覧のなかにあれば、表示された問い合わせ先に連絡し、落とし物が本当に自分の物なのかを確認することができます。
大切なものに関しては、忘れたり、落としたりしないように常日頃から心がけておくのが一番です。
しかし、気を付けていても紛失してしまうことはあります。
万が一落としたり、忘れたりしてしまった場合に備えて、「かばんや財布などには連絡先を書いたメモを入れておく」「貴重品は製品番号やメーカー名などを控えておく」などの対策をしておくとよいでしょう。
また、GPSで落とし物を探すことができるスマートタグを大切な物に付けておくことも効果的です。
それでもものを紛失してしまうことは、誰にでもあることです。
そうした場合は、落としてから3カ月までの間に各所に問い合わせなければ、処分されてしまう可能性があることを知っておきましょう。
※本記事の記載内容は、2022年4月現在の法令・情報等に基づいています。