皆様、こんにちは。税理士法人タクト職員の杉山です。長い夏が終わり、やっと収穫の秋、食欲の秋到来となりました。皆様は秋の味覚をなにか召し上がれましたでしょうか。私は健康診断も終わり油断をしている所ですが、食べすぎには注意したいと思います。
さて、今回は中小企業倒産防止共済(倒産防)に税制上の改正がありましたので中小企業倒産防止共済についてお話させていただきます。
【目次】
- そもそも中小企業倒産防止共済とは
- 制度の趣旨
- 税制上の取り扱い
- 改正点と注意するべき点
- そもそも中小企業倒産防止共済とは
中小企業倒産防止共済とは取引先企業が倒産した場合、積み立てた掛金総額の10倍の範囲内(最高8,000万円)で回収困難な売掛債権等の額以内の共済金の「貸付け」が受けられる中小企業倒産防止共済法に基づいた共済制度です。
運営元は国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構で、46万社以上もの企業が加入しています。一言でいえば、国が作った共済制度ということになります。
- 制度の趣旨
制度の趣旨としては、中小企業の連鎖倒産を防止することです。倒産等に起因する貸付けは無担保・無保証人・無利子で受けることができます。ただし、貸付額の10分の1の掛金の権利が消滅することには注意が必要です。
- 税制上の取り扱い
掛金は月額5千円~20万円まで自由に選べ、増額や減額の申請もできます。掛金の積み立て限度額は800万円となります。そして、支出する掛金は損金(法人の場合)または必要経費(個人事業主の場合)に算入できます。また共済契約を解約した場合は、解約手当金を受け取ることができます。解約の際は自己都合であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。この解約手当金は税務上の益金(法人の場合)または事業所得(個人事業主の場合)に算入されます。
- 改正点及び注意するべき点
1.改正点
租税特別措置法 第28条および第66条の11が改正され、令和6年10月1日以降に共済契約を解除し、再度共済契約を締結した場合、その解除の日から2年を経過する日までの間に支出する掛金については損金(必要経費)に算入することができなくなりました。
つまりは、今まで解約→再加入をしても掛金は全て損金(必要経費)と認められていましたが、解約日以後2年を経過するまでは再加入後の掛金は損金(必要経費)と認められなくなりました。40か月以上納めていれば、掛金が満額戻るという特性上これまで解約のハードルが低く資金が必要な際は気兼ねなく解約をしていた経営者も多かったことでしょう。
さらに、この解約の時期は加入者が任意で選べるので、解約後直ぐに再加入し掛金を損金(必要経費)とすることで、手元に資金を作りつつ、益金(事業所得)を圧縮できるようになり、本来の趣旨から外れ節税目的でこの制度が使われることが多くなりました。そのため今回税制改正による規制が入ったのです。
2.注意するべき点
令和6年10月1日からは解約日以後2年を経過するまで損金(必要経費)算入ができないため、解約するタイミングを考慮しなければなりません。
ゆえに、今まで以上にその益金に見合う損金(退職金等)が解約日の属する事業年度に発生するのか、又は過去の繰越欠損金が確保されているのか等を考慮して解約を行うことが肝要となります。解約時の状況を把握していないと、平年に比べ高い税率による法人税の納税が発生する可能性があるため注意が必要となります。
税理士法人タクトでは、企業防衛戦略や資金繰りの相談を実施しています。何かお悩み事やご不明点があればぜひタクトへお問い合わせください。