公共工事とは、国や自治体、独立行政法人などが発注する、公共性のある施設の建設やインフラの設備などを行う工事のことです。
公共工事は、コストの削減や品質の確保、不正行為の防止などの観点から、競争入札によって建設業者が決められます。
しかし、どの業者でも入札できるわけではなく、入札に参加するには一定の条件を満たすことが必要です。
今回は、入札の参加条件とその流れについて説明します。
入札資格を得るための建設業許可と経営事項審査
公共工事は、大規模な工事になることが多く、民間工事に比べると安定した発注が期待できます。
また、工事代金は基本的に現金払いなので貸し倒れがなく、発注者が自治体のため、未払いの心配もありません。
なにより公共工事を請け負っているという実績があれば、金融機関や取引先に対しての大きな信用にもなります。
このようなメリットのある公共工事ですが、受注先を決める入札には誰でも参加できるわけではありません。
施行能力に問題があったり、工事を遂行できなかったりする建設業者が入札に参加しないように、公共工事の入札には一定の参加条件が設けられています。
国や都道府県、市町村や公共法人など、公共工事の発注者によって多少異なりますが、『建設業許可』を取得し、『経営事項審査』を受けていることが入札の基本的な参加条件となります。
ちなみに、通常、建設業者が建設工事を行う場合は、建設業許可が必要になりますが、軽微な建設工事については許可を受けなくてもよいとされています。
軽微な建設工事とは、総合的に行われる建築一式工事については、請負代金が1,500万円未満、および延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事のことであり、建築一式工事以外の建設工事については、500万円未満の工事が該当します。
ただし、公共工事は『軽微な建設工事』とはなりません。
そのため、公共工事を手掛けたければ、必ず建設業許可を取得しておく必要があります。
建設業許可を取得したら、次に経営事項審査を受けます。
経営事項審査とは、入札に参加しようとする建設業者の経営規模や経営状況、技術力などを行政側が総合的にチェックするもので、建設業者は審査の結果を数値化した『経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書』を受け取ります。
この書類がないと入札には参加できません。
入札に参加するためには欠格事項に注意!
さらに、経営事項審査を受けた後は、入札に参加するための『入札参加資格審査』を受けることになります。
この入札参加資格審査の内容は、発注者となる自治体によって異なるので、前もって確認しておきましょう。
たとえば、国土交通省が発注する公共工事の入札に参加するには、2年に1度実施される『競争参加資格審査』を受け、さらに個別の工事ごとに実施される『競争参加資格確認』を受けることになります。
申請方法も、郵送や持参、電子申請など、自治体によって異なるので注意してください。
各自治体の指定した方法で申請を行い、入札参加資格審査を受けていないと入札には参加できません。
また、『欠格事項』に該当している場合も、参加資格を失うことになります。
公共工事における欠格事項とは、入札に参加するのにふさわしくない事項を定めたもので、自治体によって内容や記載の仕方が変わります。
そして、公共工事はその性質上、税金を滞納していたり、未納だったりする建設業者も入札には参加できません。
参加申請を行う際に、消費税および地方消費税、都道府県税などの完納証明書を提出する必要があります。
すべての条件を満たせば、入札に参加する資格を得たことになります。
各自治体が公表している入札公告や説明を確認して手続きを行いましょう。
公共工事の入札に参加するには、手始めに、要件を満たしていることを証明する書類を準備することが必要です。
書類の準備など、必要なものは多岐にわたるので、もし入札参加したい時期が決まっているのであれば、早めの取り組みが大切です。
※本記事の記載内容は、2022年3月現在の法令・情報等に基づいています。