税理士法人タクト監査課の栗田です。
は令和4年8月時の税理士試験のため、この1年間、事業税の勉学に励んできました。そのため今回、私は事業税をテーマとして執筆させていただこうと思います。
事業税は法人税や所得税、消費税などとは違い、経理に携わる方には少し馴染みのない税かと思います。かくいう私自身も事業税を勉強する前まで、簿記の用語で聞く程度の単語でした。
しかし事業税にも他の税金同様に規定等があり、奥深さを学ばせていただくことができました。今回の記事では事業税の全てを書いてしまうと、みなさんが途中で飽きてしまうかと思いますので、事業税の中でも個人事業者を対象とした個人事業税を主として、個人事業税の基礎的な部分について書かせていただこうと思います。
また次回以降に個人事業税の深い部分や、法人事業税も書かせていただく予定です。
まず個人事業税ですが、概要としては以下の通りになります。
課 税 対 象 者:第1種事業、第2種事業及び第3種事業を行う個人(下記参照)
課 税 期 間 :1月1日から12月31日(又は事業の廃止の日まで)
課税対象所得:不動産所得及び事業所得
所得の計算式:総収入 - 必要な経費(特別の定めあり)- 各種控除(後日記載予定)
税 率 :事業区分ごとに異なる。
- 第1種事業 ・・・・・・・・所得×5%
- 第2種事業 ・・・・・・・・所得×4%
- 第3種事業(④を除く)・・・所得×5%
- 第3種事業のうち、あん摩、マッサージ又は指圧、はり、きゅう、柔道整復、その他の医業に類する事業、装蹄師業を行う個人・・・所得×3%
※複数の事業を行う場合は各事業の税率計算後に税額を合計し、税金が課される。
申告と納付先:各県における財務事務所(東京都は東京都主税局)
申 告 期 日 :翌年3月15日まで(廃止の場合は廃止の日から1月以内(死亡を除く))
申 告 方 法 :自己申告、又はみなす申告(所得税の確定申告書による申告のこと)
徴 収 方 法 :普通徴収(申告後に納税通知書が交付され納付すること) ※納税通知書は遅くとも納期限前10日までに納税者に交付しなければならない。
税金 の 納期 :8月及び11月中で道府県の条例で定められる。(廃止の場合は直ちに)※特別の場合にはこれと異なる納期を道府県が定めることもできる。
~事業区分~(一部抜粋にて表示)
第1種事業
物品販売業、保険業、金銭・物品貸付業、不動産貸付業(一部規定あり、下記参照)、製造業、電気供給業、運送業、倉庫業、駐車場業(一部規定あり、下記参照)、出版・印刷・写真業、旅館業、料理店・飲食店業、周旋業(不動産仲介等)、遊技場業、不動産売買業、広告業、その他等
※不動産貸付業は、①アパート等の貸付は部屋数が、一戸建て等の貸付は住宅棟数が、10以上であるもの、②住宅土地の貸付は契約件数が10件以上又は貸付面積が2,000平方メートル以上であるものが課税対象になる。(注)空室問わず判定する。
※駐車場業は、建築物である駐車場(立体駐車場・機械式駐車場・屋内駐車場等)を除き、駐車台数が10台以上である場合は駐車場業として課税対象となる。
(注)建築物は台数制限関係なく駐車場業に該当する。
第2種事業 前提条件として、主として自家労力を用いて行うもの(※)を除く。
畜産業(農業に付随して行うものを除く)、水産業(小規模な水産動植物の採捕の事業として政令で定めるものを除く)、薪炭製造業 の3事業のみ。
※(個人事業主+同居の親族の労働日数)÷(全労働者(個人事業主+同居の親族+アルバイト等)の労働日数)>2分の1の場合が「主として自家労力を用いて行うもの」に該当する。
第3種事業
医業、歯科医業、薬剤師業、あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業、弁護士業、司法書士業、税理士業、コンサルタント業、不動産鑑定業、デザイン業、諸芸師匠業(講師等を指す。また事務所等を有しない小規模な者は課税客体には含まれない。)、理容・美容業、クリーニング業、その他等
以上が個人事業税の基礎的な部分になります。所得の計算式における各種控除等については次回以降に執筆させていただこうと考えております。
またみなさまに少しでも役立てることができるようには努力していきますのでよろしくお願いいたします。